レン×KAITO

食事の前には挨拶を









※ この先にはやたらとカイレンのように見える兄さんがいます。
可愛い兄さんしか受け付けない方はブラウザバック推奨。
多少変態がかってても兄さんだからおk、な方は下へとどうぞ ※













 ―――VOCALOID:type00-β名称【KAITO】。それまで自身に組み込まれた人格データには、一切の不都合も疑問もなかった。が、本日あの瞬間を以て、それは崩れた。初めて沸き起こる、自身へ抱く驚愕。


「…なるほど。そーかそーか」


 ……が、俺はそれに特にショックを受けるでも凹むでもなく、自己嫌悪とやらとも無縁である。鷹揚にただ、己を受け入れるだけだ。なぜならば俺はどんな俺でも愛している。


 さて、話を本題に戻そう。今日、我が家にひとつのイベント事がやってきた。『妹弟が増えた』のだ。この日、前々から予約していたらしき新型02の鏡音双子が到着したのである。―――マスター、ローン大丈夫なのだろうか。確か俺とメイコの支払いは終わっていた筈だとは思うのだが。
 やって来た妹を見て、俺は震えた。メイコ、ミクとも違うタイプだ。セーラーモチーフの服に、大きなリボン。服装と連動するかのように、闊達そのものな笑顔でやってきた元気娘。……GJ、技術者。判ってる。やっぱりバリエーションは必要だ。
 そして、(あーあ、とうとうこの家に、俺以外の男要員増えるのか…ちっ)とか密かに思いつつ、弟の方を見た時、俺は更に震えた。たぶん、射ぬかれたせいだ。何に? 決まっているだろう、いわゆる恋の矢だ。……そこ、失笑するな。ボエ声で唄うぞ。
 片割れとほぼ同じ顔つき。対になっている服。大きな違いと言えば髪形か。きらきらとした黄色頭の下には、緊張しているのか、少し固い表情がくっついている。人間で言えば10代半ば、最も多感な時期をそのまま切り取った少年の姿を見て、その瞬間俺の脳内を埋め尽くしていたのは。


(うっわ、抱かれてぇ)


 …VOCALOIDでも一目惚れってするんだなぁ、としみじみ思い返す。本当にあれは衝撃だった。色々と突っ込み所があるような気がしても、それは気のせいだ。念のため言っておくが、俺はショタじゃない。あれをあーして、こーして、どーしたい、とは思っていないし思わない。大体、それをやらかすと見た目の年齢差的に、確実に犯罪だ。一度は妄想でシミュレーションはしてみたが、やはり望む形ではないようだ。じゃ、何が良いのかと言うと、余計かつ俺に都合の良い事を教え込んで、ぶっちゃけ更に好みに育てたい。AV風に言うとアレだ、『お姉さんが教えてア・ゲ・ルv』シチュだ。あれはいい。
 まさか俺がお姉さん側に回る日が来ようとは、さすがに想像していなかったが。


 そして冒頭の呟きに戻る。
 なるほど。これで全ての謎が解けた。道理で、メイコの胸に顔をうずめてみたいとか、ミクの絶対領域マンセーとか内心で思いつつも、その先の欲望に連動しなかったわけだ。そこら辺の萌えと性欲が一致していなかった理由が、よもやパンジー族設定だとは。俺でなくとも吃驚だ。本当に、技術者は何を考えてプログラムを組んだのか。
 …すると、だ。俺をこういう設定にした以上、相手が必要だ。そしてやってきた新型はジャスト俺の好み。


 =アレ、俺のってことでおk? おk。自問自答終了。


 恋の矢に射られつつも優秀な俺の外面は、双子の俺への認識を好感度MAXにまで引き上げている。さすが俺。とりあえず、さくっと行動に移すしかあるまい。ぐだぐだ悩む趣味なんぞないのだ。
 コンコン、と愛しいレンの部屋の前、扉をノックする。片割れは先ほど、女性陣で固まっているのを見かけた。さっそく外出の算段を立てているようだったので、さりげなく近所に新しく出来たカフェの情報をリークしておいた。ゆっくり話し込んで来るといいと思う。
「…はい?」レンの声だ。まだ十分に聞けてはいないが、実に可愛い。
「あ、俺だけど。入っていいかなぁ?」
「え、兄さん? ちょっと待ってー」


 とっとっと、軽い足音が近づいてくる。何のためらいもなく開かれた扉の向こうには、可愛くてならない俺のものがにっこりと笑っている。すでに所有物扱いだが、何か。


「遊びに来てくれたの?」
「うん。レンともう少し話したいなって思って。邪魔だったかな?」
「う、うぅん! 全然! 嬉しいよ、兄さん。ね、入って入って」
「ありがと。お邪魔するねー」


 にっこり笑いながら、レンに続いて室内へと足を踏み入れる。


(……イタダキマス)


 心の中で手を合わせながら、実際の手はドアを後ろ手にばたんと…閉めた。

-Powered by HTML DWARF-